倉庫や工場の暑さ対策7選【メリット/デメリットを解説】
真夏の倉庫や工場で気を付けたいのが熱中症です.
この記事では熱中症防止の為に、倉庫や工場において暑さ対策がどれほど重要なものなのか?
という事と最適な暑さ対策について詳しく説明します。
■目次
1. 暑さ対策が必要な3つの理由
① 世界の夏は年々酷暑化してきている
② 電力コストの増加
③ 労働力の確保
2. 暑さ対策製品のメリット/デメリット
① 空調服
② 工場扇
③ スポットクーラー
④ 気化式冷風機
⑤ 大容量スポットクーラー
⑥ ミストシャワー
⑦ 大型ファン
暑さ対策が重要な3つの理由
まずは暑さ対策を講じる重要性を3つの側面から解説していきます。
世界の夏は年々酷暑化している
日本の夏は年々暑くなっているのをご存じでしょうか?
下記は気象庁が観測した、1900年からの6月~8月の平均基本偏差の推移です。
グラフを見てわかるように、世界の夏の平均気温は右肩上がりの上昇しており、特に東京は100年前と比べると、なんと3℃以上も高くなっているのです↓
そして気温上昇と比例して熱中症による死亡件数も増加してきております。厚生労働省の統計によると、熱中症により命を落とす人はここ10年で倍増し、2018年には1581人ももぼったそうです。(※ 参照 熱中症の死者、10年で倍増 コロナ対策と両立の工夫は)
私たちは年々酷暑化する環境の中で、よりいっそう熱中症に対する意識を高めていかなければなりません。
引用:厚生労働省統計情報部資料
電力コストの増加
下記は2016年~2019年の電気料金の単価を表しておりますが、震災以降エネルギーコストの上昇に歯止めがかからない状況となっております。
企業にとって電力コストの上昇は収益を圧迫させる要因となりますが、逆に言えば電力コストをカットすることで売上向上と同じ効果をもたらすことができます。
自然エネルギー団体のHPより引用
労働力の確保
今後少子高齢化が進む日本において、労働力不足が問題が深刻化しております。
そうした課題解決の為、政府が1億総活躍社会を謳っているように、外国人労働者の受け入れや、高齢者や女性の積極採用等のなどの企業の施策が今後さらに加速することが予測されます。
そうした中で”職場環境”というのは、貴重なワークフォースを確保する上で重要なポイントとなってくるのです。
快適な職場環境は、従業員の離職率の低下や定着率の向上に大きく寄与すると言えます。また作業/生産効率のアップも期待できます。
工場や倉庫の暑さ対策 製品のメリット/デメリット
工場や倉庫の暑さ対策として、現在世の中にはいろいろな設備やアイテムがあります。
個人向けのものから大空間向けのものまで、数万円の安価なものから数百万円の高価なものまでと実に様々です。
今回はそんな暑さ対策の製品それぞれのメリットやデメリットを解説し、総合的に判定しおすすめアイテムを紹介したいと思います。
それでは、暑さ対策製品について一つずつ解説をしていきます。
各アイテムの特徴を4つの観点から分析し、総合的に採点をしました。
涼しさ・・・どれほどの涼しさを体感できるか。高いほど涼しい。
作業効率・・・作業への影響度。高いほど影響が少なく作業がしやすい。
コスト・・・どれほどイニシャルコスト、ランニングコストがかかるか。高いほどコストがかからない。
エコ・・・CO2排出など排出していないか。高いほど地球環境にやさしい。
空調服
空調服のメリット
• 高温多湿の場所でも涼しく作業できる
• 汗のにおいやあせも対策になる
空調服のデメリット
• 小型ファンを回すと、常にふくらんだ状態になる為、見た目が大きくなる。
• また、服の中にファンやバッテリーを格納するため、通常の作業服に比べると重い。
• 気温が高すぎると、ファンからの風を生ぬるく感じることも。
• バッテリー持ち時間の問題(最大8時間。安物は4時間で充電したほうがよいものも)
• ほこりや粉塵が多い場所は不向き。(不具合、インナー汚れ)
• その他、ファンやバッテリーが濡れてしまうような場所も、故障につながりやすい
代表的メーカー:空調服、ミズノ、マキタ、山善、サンエス(空調服神服)
空調服は快適性があり手軽に使用できる点は良いですが、重くてバッテリーの持ちが悪いというのがデメリットになります。
空調服は一着1万円前後から購入できるようです。
総合判定:★★
工場扇
工場扇のメリット
• 簡単に設置ができる、移動もラクラク
• ランニングコストが安い
• 温度差による体調崩れが無い
• 汗を奪うときに、気化熱として体の表面温度を下げてくれる
工場扇のデメリット
• 目の前しか風がこない
• 気温、湿度が高すぎると温風を感じてしまう。
• 効果は限定的
代表的メーカー:山善、アズワン、ナカトミ、アイリスオーヤマ、キャタピラー
工場用扇風機のよいところは電力コストがかからない点でありますが、冷却効果は風があたる場所のみと限定的なので一定数が必要となってきます。
またそうなるとスペースをとってしまうのも難点です。
総合判定:★★
スポットクーラー
スポットクーラーのメリット
• エアコンの設置の難しい場所でも設置が簡単にできる(電源を差し込むだけ)
• キャスター付きの為、重量があっても(40-50kg)、動かすことは可能。
• 冷たい風を受けることができる(但し、12-13m3/分程度)
スポットクーラーのデメリット
• 吸気/排気設備がない場合、排熱で室温が上昇する。
• 余分な水がドレンタンクに貯まる(一定時間で水を捨てる手間要)
• 音が大きい(コンプレッサーの作動音)
• 電気代、ランニングコストが高い。(2.2kW~2.5kW。40円/hour)
• 重量あり、かさばる為、倉庫スペースを食う。
• あくまでもスポット。
スポットクーラーの快適性は抜群ですが、電気代がかかってしまうところがデメリットとしてあります。
価格はおおよそ一台30万程度で、電気代は1台につき月々3万円弱かかります。
総合判定:★★★
気化式冷風機
気化式冷風機のメリット
• スポットクーラーに比べ、電気代が大幅に安い
• スポットクーラーに比べ、風が遠くまで届く
• 気温が高く、湿度が低いときに冷却効果が大きい
気化式冷風機のメリット
• 湿気が生じる
• 水の補給が必要
代表的メーカー:静岡製機、トヨトミ、鎌倉製作所、日動工業、アメフレック
同じくスポットクーラーに遜色ないほどの快適性がありますが、気化式冷風機のデメリットとして水の補給に手間がかかることが挙げられます。
また湿気も発生するので、錆びたら困る製品を置いているなど現場によって使用できる場所は限られてきます。
総合判定:★★
大容量スポットクーラー
大容量スポットクーラーのメリット
• 基本的にスポットクーラーと同じ。
• 80m3/分~170m3/分の大容量(通常のスポットクーラーは6m3/分)
大容量スポットクーラーのデメリット
• 基本的にスポットクーラーと同じ。
• 大きい分電気代、ランニングコストが高い。(3.5kW~5.7kW。60~90円/hour)
代表的メーカー:山善/クールレボリューション、クボタ/ぐっぴーバズーカ
スポットクーラー同様、かなりの電力を必要とします。また中型の設備となりますので設置するスペースも必要になってきます。
総合判定:★★★
ミストシャワー
ミストシャワーのメリット
• 濡れるか濡れない程度のミストが体温を直接下げてくれる
• 熱交換器を使わないため、電気代も安い
• 好きな場所に設置ができる
ミストシャワーのデメリット
• 機械や、工具、鉄製品、木製品、紙製品などがある場所では使えない。
• 水の供給が必要。
• 意外に涼しくない、と言う声もあり。
代表的メーカー:三和製作所、TASCO
水補給の手間がかかることと、使う場所が限られることなど、気化式冷風機と同様のデメリットが挙げられます。
工場内の暑さ対策製品としてはあまり一般的ではないかもしれません。
総合判定:★★★
HVLS大型シーリングファン
HVLS大型シーリングファンのメリット
• 環境にやさしい(ヒートアイランド現象を防ぐ
※「空調による排熱」(≒建物排熱)はヒートアイランド現象の原因の約1/4を占めると言われている
• 温度ともに湿度も下げることができる(結露防止にも役立)
• ランニングコストが安い(消費電力は1時間に数十円程度)
HVLS大型シーリングファンのデメリット
• イニシャルコストが高い
• スペースを要する(据え置きタイプの場合)
• 設置は業者に依頼する必要がある
代表的メーカー:西田技巧、MacroAir、BigAssなど
大型の設備に分類されますので、設置については工数やコストはどうしてもかかってしまいます。ですが一度設置してしまえば簡単で、電力は想像以上に安く、メンテもさほどかからない為、暑さ対策製品の中では非常にコストパフォーマンスに優れていると言えます。
※ 各ファンメーカーの特徴についてはこちらをご覧ください
総合判定:★★★★
暑熱対策製品を、価格帯や用途別に下記の通り図にまとめてみました↓
暑さ対策の設備は、それぞれの設置環境にあった製品を検討されるのが良いと思いますが、
これからの時代SDGsの観点からも検討する事が重要です。
2015年に国連サミットで採択された国際目標にのっとり、私たちはCO2排出削減にと止めなければなりません。
例えば、ヒートアイランド現象の要因の一つにもなっているエアコンだけで暑さ対策をしている現場などは、より環境への負荷が少ないクリーンな設備に切り替える必要が出てくるでしょう。
昨今SDGsに積極的に取り組んでいる企業が多く紹介されているように、環境負荷低減への取り組みは、企業の社会的評価を高め、イメージ向上にもつながるでしょう。
SDGsにおける工場/倉庫の暑さ対策の取り組み事例についてはこちら
以上、本日は工場や倉庫の暑さ対策製品それぞれのメリットとデメリットについてお話しました。
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